昼逃げ後の夜

深夜のライン

慌ただしかった入学式からの昼逃げ。荷物だらけの実家での夜、私はなかなか眠れずにいました。

元夫からの連絡がいつまでたってもなかったからです。いつもの帰宅時間になっても。すぐ怒りの連絡があると思っていたので連絡がないことが逆に不気味で恐怖でした。

日付が変わった頃、スマホのライン通知が鳴りました。

「お前、ずいぶんひどいことしてくれたな！」

ただそれだけの文字がものすごく怖くて、外を車が走る音がするだけで、怒鳴り込んできたんではないかと震えていました。

まだ帰ってきちゃだめだよ

昼逃げから最初の週末、次女と生活に必要な物を買いに出かけていました。すると、母から連絡が。

「〇〇くん（元夫）から家の電話に連絡があったよ。今からくるって。出かけてるっては言ってあるけど。どうする？話したくないならまだ帰ってきちゃだめだよ」

もちろん話したくないので元夫が帰ってから連絡してもらうようにお願いしました。実家にいた長女も出かけているふりで二階にいると。

次女と買い物していても気になって気になって。時間を持て余すくらい帰ったよという連絡を待っていましたが、なかなか来ず。母があの調子で元夫に責められているのではないかと気が気でなかったです。

なぞのマスク

母から「やっと帰ったよ」と連絡があったのは、最初の電話から二時間ほど経った頃でした。

「ずいぶん長い間いたんだね」と言うと「これらか行くからって連絡あったから待ってたのに、なかなか来ないんだもん」

元夫がこれから行くっていう時は「これから準備をして行きますってことで、家を出るまでに30分はかかるよ」というと「あぁ、電話あってからそのくらいだったわ、ここまでに10分くらいでこれるのにねぇ」と。本当に時間にルーズな人だから・・・。

「それで、なんて話だったの？」と聞くと、「何が言いたいのかよくわからなかった」と。

「なんで出ていったのかわからない。荷物を運んでいる時男が一緒にいたって言われたって。それから離婚届は判を押すって。その時は2人で押したいってさ。浪費が原因の一つとは言っておいたよ。あと向こうの実家の連絡先置いて行って、子どもの成人式や結婚式の時は向こうの親に写真を送ってくれって。よっぽど自分の親が好きなんだねぇ。子どもたちは元気にしてるかとかは一切なかったよ。それとさ・・・」母は封筒を出してきました。

「封筒出されたとき、妻子の生活費にってお金でも持ってきたのかと思ったんだけどさ」封筒を開けるとそこにはマスクが入っていました。「なんでマスクなの？それも一枚」

家を出る前にある出来事がありました。その日私は目覚まし時計のなる前でまだ布団で眠っていました。元夫の怒鳴り声で起こされたのです。「おい、お前、消毒液どこやった！！」「消毒液？」その頃新型コロナウイルスのため、消毒薬やマスクが手に入りずらい時期でした。その怒鳴り声で起きてきた長女にも元夫は怒鳴りつけます。「お前の部屋にあるのはわかってるんだ！」と。長女は怪我の消毒に使っていたのです。

消毒液だけでなく、元夫はマスクもネットで自分の分だけ購入し私や子供たちに使わせることはなかったのです。コロナウイルスから家族を守るのではなく自分だけを守ろうとする姿も離婚を決めた理由の一つだったのですが。

消毒液とマスクのことで私がカッとなって家を出たと思ったようでした。私が何年も堪えていたこと、何年も出していたSOSにまったく気が付いていなかったんだ。やっぱり・・・。